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はじまり



nuiの始まりがあるとしたら、それは、まだ私が児童発達支援事業所の療育の現場で日々子どもたちと関わっていた時の、AさんとBさんとの出会いからかもしれない。

AさんとBさんは、どちらもタイプは違うが高機能のASD(自閉スペクトラム症)の成人期のお嬢さんで、家からなかなか出られないという事で、ボランティアで週1回2時間程度、療育の教材つくりのお手伝いに療育現場に来てもらっていた。絵カードを切ったり、ラミネートしたり…その丁寧で正確な仕事ぶりにはいつも感心させられていた。また「ここにこだわるか」という面白い発見も多かった。

 ある時、これまた別の知り合いから、「ポーチのパッケージのお手伝いができないかな?」と頼まれて、療育がお休みの夏の暑い日、数人でパッケージの作業をした。写真の手順書どおりに細部に気を配りながら、タグをつけ、たたみ、袋に入れて仕上げる。彼女たち2人の集中力と完成度の高さに驚かされた。

その時に感じた漠然とした疑問というか思い…学校や社会の集団の中でうまくいかずに家にいる人たちの、このすごい強みを生かさないのはもったいないなあ。環境を合わせてあげたら、この強みが生かされて社会の中で仕事ができるんじゃないかなあ。この思いは今もずっと胸にある。

 小さな小川の源流、その後、様々な人たちとの出会いや協力があり、支援を責任もって継続したい思いがあり、気が付くと「就労継続支援B型事業所nui」というささやかな小さな川の流れになっていた。自分でもこの川がどうなるのか、またどこにつながっているのかは分からない。

今でも就労継続支援B型という形が彼女たちにとって本当に良いのかどうか、もっと違う形もあるのでは、どういう形が彼女たちの自立にとって必要なのだろうと葛藤することもある。(現在なぜか通ってきているのが女性ばかりなので「彼女たち」と表現しているが、もちろん男性も歓迎です)

ただ、器が重要なのではなく、本当にひとり一人にとって意味のある場所だったら、器は何でも良いのでは、などと考える。出会って、その人の今までの苦しさや経験に思いを巡らせ、できたことを通じて、自分の存在がかけがえのない大事な存在だということを、一緒に見つけていけたら… nuiがそういう場であってほしいと願いながら、スタッフ達は一人ひとりを理解しようとし、話をし、必要なサポートを考えながら、今日も一緒に物つくりの仕事を楽しんでいる。

nuiに通っている一人ひとりに出会えたことに感謝しながら、今日も穏やかな一日が始まる。

NPO法人nui 理事長
大岡和子

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